世界遺産をコレクションする、をコンセプトにしたソーシャルメディア「世界遺産プラス」をオープンしました。
以下プレスリリースより弊社代表のコメントを抜粋致します。
「私が学生時代。あれは地理学概論の授業だったか、それとも東欧史の授業だったか、とにかく、教授の声が右耳から侵入してくるのを左耳より放射しながらずっと地図を眺めていたものです。授業を疎かにするならいっそのこと携帯をいじるなり、漫画を読むなり、秘密結社の設立を企てるなりすればいいものを、こともあろうか地図に没頭していたのです。これでは授業の延長ではないか、それがサボタージュの態度か、実にけしからんという声が降り注いで来そうでした。『ああ、ここ行きたい』が口癖になっていたあの頃。行きたい遺産を地図上にマーキングして満足していました。有り余る時間の尊さも知らずに。
あの頃紙の地図上にマーキングした『ぼくのさいきょうせかいいさんリスト』どこにやったかなあと部屋を一頻り探してみましたが終ぞ見つからず、ウェブ上にでも残しておけば良かったなと悔み、むしろそういうサイトあれば絶対使ったのにと思ったものです。…お気付きですね。そう、これを契機に私は『世界遺産プラス』の開発に奔走することになります。Qu’ils mangent de la brioche!(意訳:ケーキを食べればいいじゃない)とマリーアントワネットが言ったというのは俗説だそうですが、サイトがないなら作ればいいじゃないと私が呟いたのはこれ事実で御座います。
かくして完成を迎えた本サイト、『あれ、西暦2000年以前に登録されたヨーロッパの遺産で文化的景観かつ複合遺産、しかもトランスバウンダリーサイトってあったっけ』のようなマニアックな検索にも対応しております。誰得と言われればもう俺得と言わざるを得ない機能ですが誰かのお役に立てればもうエンジェルフォールの滝壺で溺れ死のうが本望です(余談ですが、エンジェルフォールはあまりの高低差のため水は霧散してしまい滝壺はありません)。皆様の世界遺産ライフに幸多からんことを。(世界遺産プラス責任編集:Yuya Sakurai)」
長々とどうでもいいことを宣っている感は否めませんが、今は完成の喜びと全身を蝕む疲労感に包まれております。
本当はあと3000字は言いたいことがあったのですが自重しました。プレスリリースはおまえが一席ぶつ場所ではないのだ、と自らを律し今まさにここに駄文をしたためている最中に御座います。
さて、世界遺産というのは現在ではその数1000を超えるわけでありまして、「多すぎて追いきれない」や「最近の遺産はどこがすごいのかよくわからない」といった意見がよく聞かれるわけで御座います。前者はともかく、後者に関しては世界遺産フリークの端くれとしてご説明させて頂きますと、身も蓋もない話になってしまうかと思われますが「みなそれぞれちゃんとすごい」のです。
絶景や一目見てわかる美しい建築物だけが世界遺産ではありません。この世の森羅万象がただ「美しい」の一点のみに価値があるわけでないのと同様、登録された遺産もまた他の要素において唯一無二の価値を有しているのです。極論を言ってしまうと「価値があることに価値がある」のです。
そしてまた、「ギズは真面目なのかふざけているのかよくわからない」ということも言われるわけですが、はっきりいってそこは紙一重だと思っているわけで御座います。ただでさえ1000件以上ある世界遺産だけでなく、それらがもつそれぞれの構成遺産まで数千件、全てに専用ページを用意して御座います。はっきり言って狂気の沙汰です。
しかし「完全網羅」を謳うサイトである以上そこに妥協があって良いものだろうかと自らを奮い立たせ、完成に至ったわけです。
私は世界遺産、とりわけ宗教建築を見るとそこに執念というべき信仰の痕跡を見出だすことが多く、そういうったものを見るにつけ「(いい意味で)狂っているな」と思うわけです。これは最大限の賛辞であります。なぜなら、それらはひたすら真面目に信仰に向かい合った結果の産物であるからです。真面目はつきつめると、狂うのです。これは対極の価値観ではありません。
弊社に関して言わせていただければ、僭越ながら良い感じに狂っており、それでこそギズであると思っているわけでございます。
さて、こうして話が混迷を極めるのはいつものことですので殊更反省はしませんが、いよいよもって読者の皆さまに呆れられてしまいやしないかと心配になってくるのでこの辺にしておこうと存じます。
月並みな表現になってしまい恐縮ですが、世界遺産プラスを通して「知る喜び」を感じて頂き、「訪れるきっかけ」になればと思っております。あなたの旅を後押しする一助になればこれ幸いです。
世界遺産プラス
http://si-p.net/